年頭の御挨拶

2019年 1月 4日

独立行政法人中小企業基盤整備機構
理事長 高田坦史

新年、明けましておめでとうございます。平成31年の新春を迎えるにあたり、年頭の御挨拶を申し上げます。

日本経済は企業の生産活動、個人消費ともに緩やかに持ち直しており、中小企業の景況感も改善傾向にあります。昨年12月には、今回の景気拡大局面が高度経済成長期の「いざなぎ景気」を超えて、戦後2番目の長さになったと判定されたところです。また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に続いて、2025年国際博覧会の開催地が大阪に決まるなど、景気拡大に向けての好材料となっております。

しかしながら、少子高齢化に伴う人口減少の影響が顕在化してきており、人手不足や後継者不在など、中小企業にとっては様々な経営課題が生じております。

中小企業が抱える喫緊の課題の一つは、人手不足への対応です。日本の生産年齢人口は1990年代後半をピークに減少し続けており、有効求人倍率は44年ぶりの高水準となっております。政策効果もあり、就業人口は過去最高レベルとなっておりますが、人口減少や働き方改革への対応等を勘案すると「人手不足に人手で対応する」対策には限界があると言わざるを得ません。

こうした課題の解決には、生産性を抜本的に向上させることが必要不可欠です。そして、この「生産性革命」に極めて大きな効果が期待できるのが、AIやICTといった、革新的技術の活用です。人手不足という「ピンチ」は今までのやり方を変え、売上や利益を拡大させることができる「絶好のチャンス」とも言えます。例えば、EC(電子商取引)を活用すれば、低コストで大都市圏や海外で販売・取引を行うことができます。中小機構では、中小企業のICT活用による事業展開を後押しできるよう、ウェブ上で海外企業の発掘や大手企業等との情報交換ができる「J-GoodTech(ジェグテック)」や簡単にECのこと等が学べるオンライン講座などのサービスを展開してまいりました。

昨年9月には、ICT活用による中小企業の「生産性向上」を促進するための特設サイトを開設し、具体的なICT活用事例、低コストで簡単に導入できるアプリやソフトの紹介等を行っています。今年3月には、紹介するアプリなどの分野や数を大幅に拡充していく予定です。

また、我々自身も支援サービスの効率化、品質向上を図るため、AIやICTを活用した取組みに挑戦してまいります。

中小企業のもう一つの喫緊課題は、経営者の高齢化と事業承継への対策です。国の試算によると、今後10年の間に平均引退年齢である70歳を超える経営者は約245万人、その約半数の127万人が後継者不在・未定と推定されています。廃業した中小企業の半数が経常黒字だったという調査結果もあり、地域経済を支える中小企業の中に、黒字でありながら、後継者がいないがために廃業せざるを得ない企業が多いという実情は極めて深刻な問題です。実際に、2014年7月から2016年6月までの約2年間で中小企業は23万社減少しております。

また、事業を引き継ぐに当たっても、その準備に5年から10年かかると言われており、気が付いたときには「時すでに遅し」となりかねません。この対策として、国は、各都道府県に「事業引継ぎ支援センター」を設置しています。中小機構はその全国本部として、各センターをバックアップするとともに、地域の支援機関から成る「事業承継ネットワーク」とも連携し、中小企業への「気づき」を喚起する取組みを行っております。また、会社や事業を譲渡したい方と譲り受けたい方の情報をまとめたデータベースの運用を拡充し、マッチングの促進を図っておりますが、これらの取組みを一層強化してまいります。

中小機構は、今年7月で設立15周年を迎えます。この間、人口減少やグローバル化の進展、第4次産業革命など、中小企業を取り巻く環境は大きく変化しております。中小機構では生産性革命やグローバル化に挑む中小企業の伴走者として、また、中小企業支援の基盤をつくる担い手として全力を尽くしていくという決意を込めて、本年よりロゴデザインを一新いたしました。今後も引き続き、小規模企業共済や中小企業大学校などの従来からの事業のサービス改善、向上を図るとともに、中小企業の皆様の課題やニーズに応じた新たな支援サービスの開発、提供に尽力してまいります。また、これらを、中小企業の皆様に、より迅速、かつ有益な形でお届けするために、全国の支援機関の皆様との連携を更に深めつつ、中小企業支援機関としての役割を果たせるよう、役職員一同全力で取り組んでまいります。

皆様方におかれましては、この1年が更なる飛躍の年になるようにお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。